まんが文庫店

普通の漫画をつき抜けた才能。大真面目だけどなんてシュール！
作家明智抄の異才天才を実感できる素晴らしい作品。人物設定や話の展開が素晴らしい。ストーリー展開や登場人物の心理描写における目の付け所が異彩を放ち、シュールであり、ユーモラスでもあり、なにより頭のいかれた登場人物全員がそれぞれ実に神妙。特に初期の頃のシリーズ数編が飛びぬけて素晴らしい。明智抄氏は正統派少女漫画のようにどうにか言葉でその作品の素晴らしさを説明できるものとは格段に異なる才能がおありなのではと思う。もし漫画家専業で活躍されているのだとしたら何とももったいない。漫画家としてのご活躍と併せて他の分野でもぜひぜひ才能を発揮して欲しい等と思い一ファンとなって期待してしまう。ただ約15年以上ぶりに見ると美麗なイラストの表紙に驚いた。すごく美しいイラストであるが作品のすごくシュールで異質で、でも最高にユーモラスで忘れがたいストーリーが伝わってこないと感じられて少し残念。
ホラーが怖い
絶版状態だった始末人シリーズが文庫化しました。その第2巻です。

「鳥類悲願始末人」「新装転職始末人」「心美体健始末人」「風雅風韻始末人」「明智くんのおともだち」「お烏さま」が収録されています。

「お鳥さま」は単行本初収録作品）で、ものすごくホラー色が強くて、いつものより怖いです。心して読んで下さい。

世界観が好き！
この作品には衝撃を受け、それからはおおげさかもしれませんが篠原さんに影響を受け続けています。今までにはなかったような設定だし画だったし。
主人公はカートとマデライン。舞台は主にニューヨーク。彼らの周りで起きる不可思議な現象。そしてそれに関係している人々。様々な出来事により人間の内面を描いています。

マデラインによって変わっていくカート、多くの人達。泣けるし、考えさせられる作品です。
ちなみに私の好きなキャラはホワイトウィングです。
このころはキャラがごつかった。

今市子のファンタジーが好き
私はこの人の描くファンタジー作品が好きです。「百鬼夜行抄」に代表される和風幻想モノはキャラの心理描写の少なさや無表情な顔などのせいで、どうしてもキャラに感情移入できず、なかなか物語に入り込めません。その点、ファンタジー作品はキャラが魅力的だし、ストーリーも分かりやすく、わりと軽めのタッチのことも多いので、違和感なしに物語に入り込めます。「百鬼夜行抄」よりも「岸辺の唄」シリーズが好きというのは今市子ファンとしては珍しいかもしれませんが・・・。

この表題作の「孤島の姫君」も私の期待通り、“今市子の描くファンタジー”でした。異世界や予言者や竜といったファンタジーとしての基本は抑えながらも、独特のキャラや少しひねくれたプロットなど、今市子ワールド全開です。キャラの描き分けができないのは・・・、まぁ仕方ないですね。この人はそれを言ったら何も始まりませんから。

他の収録作品もペットの文鳥をネタにした作品から、和風ホラーまでありとこの人の多芸っぷり（敢えて多才とは言いません）が堪能できます。ちょっと気分転換に読むには最適な一冊だと思います。