まんが文庫店

　主人公・大は母親に誕生の意味を・祝福を与えられなかった子供だった。だから、高校生になっても、恋人よりも、他人より“家族”に固執する。
　そして、自分の存在意義を、時には「お金」で得ようとするのだ。子供がなにか“人にしてあげれば返して貰える。いいことを”と信じているのと同じだ。
　幸運なことに、大は自分の誕生の祝福を知る。祖母に受け入れられ、初めて「ホーム」を手にする。高校生だが、彼はこれからやっと幸せな子供として、成長し出すだろう。止まっていた時間は動き出したのだ。
　
　私はこの本を読んで、「家族」の大きさを改めて知る。家族と言う揺りかごで人は成長し、外へ出て行く術を知るのだ。（そこに血のつながりが無くとも、家族という集合体がどんなに、人に安定をもたらすか）大、は家族を手に入れた。しかし、自分の誕生に自信が無い人、自分の家族を持てずに成長してしまった子供たち（大人）も現実にはいる。それでも、支えてくれる人に出会い、幸せに生きて欲しい、などと言うことを、最後は考えさせられてしまった作品だ。
　
　邦画「誰も知らない」と比較して読んで欲しい、と勝手ながら思う。