まんが文庫店

　地球に空いた穴、ブルー・ホール。そこを通り抜けると、そこは一億四千五百年前のジュラ紀の世界。かつて地球で栄えていた恐竜が闊歩していた時代。ブルー・ホールというタイムトンネルを通って、その恐竜時代に出た登場人物たちが、地磁気の異変によって元の世界に帰ることができなくなってしまう。戻る方法はただひとつ、ジュラ紀の地球にある別のブルー・ホールを見つけ、そこをくぐり抜けて現代の世界に帰還するというもの。
　密林や河での恐竜の襲撃。人類チーム内の危険人物との死闘。目指すブルー・ホールに向かう途中で、そうしたサバイバル合戦が繰り広げられるのですね。エドガー・ライス・バローズの“ロスト・ワールド”ものと、デズモンド・バグリイの『高い砦』のサバイバルな展開を足して二で割ったようなストーリー。恐竜（見るのは）大好き、サバイバル・ゲーム（読むのは）大好きな私には、もう堪えられない作品でした。

　作中、哺乳類の先祖みたいな動物が出てきて登場人物たちをほっとさせるシーンがあるのですが、そこが心に残ります。恐竜や毒虫、ヒルなんかが幅を利かせているパワフルな世界の片隅で、ひっそりと生きている動物たちを見て、私も登場人物が感じたような仲間意識を彼らに感じました。

　上下巻、巻措く能わぬ面白さでした。見ごたえ満点の映画に目が離せない、釘付け状態になっていた数時間。存分に堪能させられました！
超おすすめ！！
巨大な隕石の落下の衝撃によって、地球内部の時空が歪み、それが原因でできるブルーホール。世界中に数カ所あり消えたり現れたりを繰り返すこの穴を通ると、はるか太古の世界に行けるという。ここを通り恐竜の住む時代に送り込まれた調査団が、突発事故で帰ってこれなくなってしまう。生き残った人々は、わずかな望みを頼りに別のブルーホールへと向かうが、そこに立ちはだかる大自然の驚異と地上を我が物顔でのし歩く恐竜の群れ。果たして無事にブルーホールにたどり着き、現代へと帰ってくることができるのか？
タイムスリップで恐竜時代、サバイバルと小説や映画によくあるパターンなのですが、そこは絵も構成も評価が高く一部に熱狂的なファンを持つ星野之宣、タップリと楽しませてくれます。
単なるサバイバルものではなく、極限状態でみせる様々な人間模様をじっくりと描き、さらには生物の進化の謎や恐竜たちの大量絶滅の謎にまで言及されていて読み応え十分、ぜひ読んでみてください。超おすすめの一作です。
世界観
世界観というか、コマの中に世界を広がらせたら、星野之宣氏の右に出る
モノはいない･･･。絵の完成度から世界設定にいたるまで、そう思わせる
までの徹底ぶり。見知らぬ境遇へ放り出されてしまった、主人公達の心情
までも伝わってくるかのようなドキドキ感。

しかし、文庫ではなくやっぱり通常版で見て欲しいと思います。でも話は