まんが文庫店

戦後まもない昭和の頃、漫画家という職業は今ほどはっきりとした物ではなく、そうとうな決心が必要だったことでしょう。
自分の将来も考えさせられました。

漫画の中では、手塚治虫をはじめ、赤塚不二雄や石ノ森章太郎などたくさんの著名な漫画家も出てきます。

現代の漫画家が、平気でポンポン休載したりしているのを見ると、この漫画を読めー！と叫びたくなります（笑）
この頃の漫画家がいかにマンガに真剣に取り組んでいたか、
とてもよくわかります。

内容は若干大人向けですが、小学校高学年くらいの子供なら読めると思います。

余談ですが、5年ほど前、この漫画に出てくるトキワ荘に行って来ました。現在のトキワ荘は当時のものとは別の建物らしいですが、看板に赤塚不二雄のサインとトキワ荘の文字が見えました。
また、漫画に実際登場していた「松葉」というラーメン屋にも行って来ました。（笑）

美貌の敵国人、そしてかっこいい同国人たちの恋の物語です。
伯爵や公爵や女王陛下や枢機卿などがでてきます。
ジプシーや泥棒や海賊や幻のインカの伝説なんていうのもでてきます。
こんなタカラヅカ真っ青のような豪華な設定の少女漫画が昔はあって
週刊誌で毎週読むことができたなんて、とても幸せなことでした。

確かに微妙に荒唐無稽だったり、歴史の考証ミスはありますが、
たとえば『三銃士』の荒唐無稽が決して作品のキズではないように
この作品の荒唐無稽さも、作者の執筆の勢いとして、光り輝くように
感じています。
また、この歴史考証はどうのこうのというのも少女漫画の読み方としては
つまらないものだと思いますので、西洋史に詳しい方も目くじらを

立てずにロマンの旅にでてほしいです。
読後に、登場人物の名前の由来を映画スター、歴史上の人物
小説の登場人物などに探したりするのも楽しいです。
もしかしたら、暇人向きでしょうか。
残念ながら未完ではありますが、1部から3部まであり、各部で完結した
ストーリーですので、十分楽しめます。
1部と2部だけ読むという読み方もあるかもしれません。